勉強を教えていてハマる瞬間

ぼくが今勉強を見ている子どもたちのなかに、以前から九九が少し心配な小学生がいる。
紙で九九を解いていくときは考える時間があるから問題ないものの、いざ口で九九を言ってもらうと9の段に近づくほど、自信がなくなってきてだんだん尻すぼみになって九九を言い終わるような。
特に8×7が鬼門らしく7×7の影響で8×7が曖昧になると精一杯自分の言葉で教えてくれた、確かに「しちしち」と「はちしち」で音が似ているものだから無理もない。
毎回、一緒に勉強しているときにとっさに7の段と8の段を試しに言ってもらうことがあるけれど、正答率はまちまちと言ったところだった。九九にこれといった処方箋が思いついていなかったので、とにかく繰り返すことで様子を見ていたけど、あまり効果が見られないので次の手を打つことに。

そこで覚えられないはとりあえず語呂合わせで覚えてみようと提案してみた。
問題は8×7を覚えることなので、答えの56について何かいい語呂合わせはないかなと、一緒に考えた。
やっぱり好きなものがいいよね、となって、最近ぼくたちの間ではゼルダの伝説ブレスオブザワイルドの話で盛り上がっていることを思い出した。なんかゼルダに56になりそうなキャラ出て来んかな?とその子が聞いてきたので、「あ、ゴロンおるやん!ゴロン!」と、突然思いついた。
その子もそれだ!といった表情で応えてくれて、じゃあ、7×8と8×7はゴロ(56)ンということにぼくたちの間では決まった。
実際に効果があるかは次回の勉強の際にわかる。けれども、彼にとって九九の苦手だったイメージが好きなものを介在して改善されたし、ぼく自身この子にハマったなという感触があった。

この子にしか使えないゼルダ戦法を今回一緒に編み出したわけだけれど、他の子にはまず使えないだろう。
ただ、目の前の君にとっての最適な方法を模索していくのが、ぼくがやりたかったことだし、子どもたちに必要なことなんだと思った。その子とぼくにとって、ゴロンが合言葉であるように、そんな二人だけの秘密の暗号みたいなものがどれだけ作っていけるのか。
それぞれにオーダーメイドされた学びは学びそのものを楽しくするだろうし、こういったことを繰り返して自分に合った方法を知った先に能動的な学習があるのだと思う。
最近は勉強を教えるときに日本の伝統芸にある教授方針である守破離を意識している。
これまではいかに守るかをかんがえていたけれど、いかに離までもっていくか。いかに自分がいなくても勉強ができるようになるかを常に頭の中におくようになった。